Archive for October, 2004

8. 昭和残侠伝・唐獅子牡丹

Sunday, October 17th, 2004

監督:佐伯清 サエキキヨシ

脚本:山本英明 ヤマモトヒデアキ / 松本功 マツモトイサオ

高倉健 タカクラケン(花田秀次郎)

三田佳子 ミタヨシコ(秋山八重)

池部良 イケベリョウ(畑中“三上”圭吾)

津川雅彦 ツガワマサヒコ(清川周平)

花澤徳衛 ハナザワトクエ花沢徳衛(金子直治)

河津清三郎 カワヅセイザブロウ(左右田寅松)

山本麟一 ヤマモトリンイチ(左右田弥市)

芦田伸介 アシダシンスケ(田代栄蔵)

大谷石の特産地として名高い宇都宮の石切場は、榊組をはじめとする、幾つかの組の者が仕切るならわしだったが、新興勢力左右田組の組長寅松は榊組をつぶし、縄張りを拡張しようともくろんでいた。そうしたなかで花田秀次郎の弟分清川周平の許婚者くみに、弥市が横恋慕した。周平を思う秀次郎の弱味につけこんだ寅松は、周平、くみの縁結びを条件に榊組三代目秋山幸太郎を秀次郎に斬らせた。それから三年の歳月が流れ、秀次郎は刑務所を出た。今では石切場は、左右田組がはばをきかせ、幸太郎を失った榊組は、未亡人八重の必死の努力もむなしく斜陽の一途をたどるばかりであった。秀次郎は出所するとすぐ、心ならずも斬ってしまった幸太郎の墓参に寄った。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD21826/story.html

【クライマックスの台詞】

高倉健演じる花田秀次郎〔秀〕と池部良演じる“三上”〔三〕の会話

(“標準語”でないので表記が難しい)

〔三〕秀治郎さん

〔秀〕三上さん

〔三〕何処へ行きなさる。

〔秀〕へ、東京へ、帰えろーと思います。

〔三〕じゃ、この間の勝負は当分お預けになりそうですな。

〔秀〕申し訳ねえが、そうしてやっておくんな。

〔三〕こんどは抜いてもらいますぜ。

〔秀〕へ。三上さん、どちらへおでかけで。

〔三〕ちょっと用足しですよ。

(間)

〔三〕秀治郎さん、駅は向こうですぜ。

〔秀〕へ。まだ、用足しが残ってるんですよ。

〔三〕そいつぁわたくしに任しておくんなさい。一家の者(もん)が、陰に日向にお世話になったそうで。礼を言わして貰います。

〔秀〕三上さん。あーた、ここに残らなくちゃぁならねえお人だ。もしあんたがいなくなったら、あねさんや榊組は一体どうなる。あっしを行かしてやっておくなは。

〔三〕ここであんたを行かしたんじゃ、榊組の面目ぁ立ちません。気持ちだけはありがたく頂戴いたします。

〔秀〕あっしはまだ、幸太郎親分にゃ本当のお詫びをすましちゃいねえんで。

せめて顔向けのできる男にしてやっておくんなへ。

〔三〕秀治郎さん。

〔秀〕三上さん。

(二人、じっと見つめ合う)

恵比寿まで行ったが

Sunday, October 17th, 2004

「モーターサイクル・ダイアリー」の7時からの回を観るべく4時頃からゆっくり出掛けた。さんざんあちこち寒い中を歩いたりウィンドーショッピングをしたり、コーヒーを飲んだりしながら時間をつぶし、30分前くらいにガーデンシネマに行った。すると、「3時頃にすでに7時の回の受付がいっぱい」になっていてレイトショーまで観られないと言う。!? 前売りを買っていたから油断していた。

「11月末までの上映が確実」と聞いたので、ひとまず退散した。

こんなに話題になっているとは思いもよらず、いくら週末とはいえこんな4時間前からいっぱいになるほどの人気とは驚き。結局、4時間以上の時間外を歩き回るだけで無駄になった。腹が立ったが、恵比寿のアトレで普段買わないような「高級バイキング式弁当」を買って帰る。

口惜しいが、借りている仁侠映画でも観て今宵は過ごそうと思う。

7. 日本女侠伝・真赤な度胸花 (1970)

Friday, October 15th, 2004

監督:降旗康男 フルハタヤスオ

脚本:笠原和夫 カサハラカズオ

藤純子 フジジュンコ富司純子(松尾雪)

小沢栄太郎 オザワエイタロウ(松尾兼之助)

石山健二郎 イシヤマケンジロウ(陣之内七兵街)

山本麟一 ヤマモトリンイチ(トッカリ松)

小松方正 コマツホウセイ(小杉信作)

五十嵐義弘 イガラシヨシヒロ(マキリ)

浅松三紀子 (ピリカ)

山城新伍 ヤマシロシンゴ(益川源次)

開拓期。北海道札幌。博労総代の松尾兼之助は、馬市の利権をめぐって、博徒大野金次郎の子分に射殺された。それを目撃した飼子頭の源次を捕えた大金は、源次を脅迫して博労総代に立てた。一方松尾の番頭七兵衛は、兼之助の遺言通り、松尾の一人娘・雪を九州から呼び寄せ、後継者になるように説得したが、雪は断わった。しかし、兼之助の遺書を見て、父の跡をつぐ決心をした。

6. 緋牡丹博徒 (1968)

Friday, October 15th, 2004

監督:山下耕作

高倉健 タカクラケン(藤川宗次)

村田英雄 ムラタヒデオ(和田島義雄)

内田朝雄 ウチダアサオ(半田仙造)

里見浩太朗 サトミコウタロウ(半田邦夫)

長門裕之 ナガトヒロユキ(寅松)

大友柳太朗 オオトモリュウタロウ(新沢)

南田洋子 ミナミダヨウコ(千代)

八千草薫 ヤチグサカオル(おしん)

五月みどり サツキミドリ(照駒)

九州の博徒矢野組の一人娘竜子は、堅気の男との結婚をひかえて父に死なれた。矢野が闇討ちを受けたのだ。竜子は一家を解散し、矢野の死体のそばに落ちていた財布を手がかりに犯人を探そうと旅に出た。小太刀の免許を持ち、博奕にも優れた腕を持つ竜子は全国津々浦々の賭場を流れ歩くうち、五年の歳月が過ぎていた。明治十八年の晩春、岩国のある賭場ですでに“緋牡丹のお竜”の異名をとっていた竜子が胴師のイカサマを見破ったことから、いざこざが起り、竜子は旅の博徒片桐に助けられた。

5. 日本侠客伝・浪速篇 (1965)

Friday, October 15th, 2004

監督:マキノ雅弘

鶴田浩二/高倉健/村田英雄/長門裕之/八千草薫

大正八年。横浜日東組の代貸し藤川宗次は、作業中に事故死した仲仕の弟勝男の骨を受け取りに大阪の浪花運送へやってきた。浪花運送は大坂南の博徒新沢一家が経営する荷受業で、社長の黒木は仲仕を借金で縛りへ牛馬のようにこきつかっていた。

4. 日本女侠伝 侠客芸者 (1969)

Friday, October 15th, 2004

監督:山下耕作 ヤマシタコウサク

脚本:野上龍雄 ノガミタツオ

藤純子 フジジュンコ富司純子(信次)

桜町弘子 サクラマチヒロコ(粂八)

金子信雄 カネコノブオ(大須賀喜造)

寺島達夫 テラシマタツオ(金井)

若山富三郎 ワカヤマトミサブロウ(坂田義信)

高倉健 タカクラケン(島田清吉)

石炭ブームにわく、明治末期の博多。馬賊芸者と評判高い信次は、男まさりの気っぷと度胸が人気のマトだった。そんな信次に惚れる鉱業会社々長の大須賀は、士地のやくざの親分万場安次郎と手を組み、九州一の炭坑主にのし上がろうとしていた。ある日、料亭に遊びに来た花田炭坑の人夫たちを迎えに来た納屋頭の島田清吉に会った信次は、好意を抱いた。一方花田炭坑をぜひとも手に入れようとする大須賀は、執拗に清吉を口説くが、先代に恩義を感じている清吉は、ガンとして聞き入れない。

3. 昭和残侠伝(1965)

Friday, October 15th, 2004

監督:佐伯清 サエキキヨシ

脚本:村尾昭 ムラオアキラ / 山本英明 ヤマモトヒデアキ / 松本功 マツモトイサオ

高倉健 タカクラケン(寺島清次)

三田佳子 ミタヨシコ(西村綾)

伊井友三郎 イイトモサブロウ(川田源之助)

中田博久 ナカタヒロヒサ(川田輝男)

菅原謙二 スガワラケンジ(江藤昌吉)

中山昭二 ナカヤマショウジ(福永繁)

松方弘樹 マツカタヒロキ(ジープの政)

梅宮辰夫 ウメミヤタツオ(ゼロ戦五郎)

潮健児 ウシオケンジ(遠山六兵衛)

池部良 イケベリョウ(風間重吉)

水上竜子 (風間美代)

山本麟一 ヤマモトリンイチ(羽賀明)

とにかく言葉がうまく、存在感があるのが、殺されて「先代」になってしまう川田源之助を演じる伊井友三郎。ものすごく、格好いい。それから、「軒下の仁義」といって始まってしまう客人(池部良)と江藤(菅原謙二)の間で成される“自己紹介”。これは、仁侠モノを見始めた人には新鮮なおどろき。実に興味深い。

(goo cinemaでの紹介文)

太平洋戦争終結直後の東京は、日本古来の任侠道も社会道徳もすたれ、浅草もその例外ではなかった。浅草露天商は新興やくざ岩佐の牛耳る新誠会の縄張りの中で、売上げ、場所代を組織に納め、闇物資や統制品の横流れにささやかな商品の糸口を求めていた。昔からの由緒ある神津組二代目源之助は、この有様をなげきながらも、跡目と願う寺島清次の未復員を含め、戦死の組員が多く、人材に事欠く状態であった。悪らつな新誠会のやり方に、警察は親分衆を集め自粛をもとめたが、物資搬入ルートを握る新誠会に楯つく者はいなかった。唯一人、岩佐の手口をほのめかした源之助は、実子輝男の目前で射殺された。

昭和残侠伝(1965)の名ゼリフ「軒下の仁義」は...

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2. 日本侠客伝 (1964)

Friday, October 15th, 2004

監督:マキノ雅弘 マキノマサヒロ

脚本:笠原和夫 カサハラカズオ / 野上龍雄 ノガミタツオ / 村尾昭 ムラオアキラ

中村錦之助 ナカムラキンノスケ(清治)

高倉健 タカクラケン(辰巳の長吉)

大木実 オオキミノル(弘法常)

松方弘樹 マツカタヒロキ(鉄砲虎)

田村高廣 タムラタカヒロ(鶴松)

長門裕之 ナガトヒロユキ(赤電車の鉄)

藤間紫 フジマムラサキ(お柳)

藤純子 フジジュンコ富司純子(おふみ)

南田洋子 ミナミダヨウコ(粂次)

三田佳子 ミタヨシコ(お咲)

ミヤコ蝶々 ミヤコチョウチョウ(おしま)

津川雅彦 ツガワマサヒコ(ポンポンの繁)

深川木場の材木を運び出す運送業者の木場政組と沖山運送は事毎にいがみあっていた。新興の沖山は侠気一本の木場政をあらゆる手段を使って妨害。折も折争いを好まぬ木場政が病死。沖山兄弟はここぞとばかりその勢力をのばしはじめた。木場政の子分の弘法常、鉄砲虎、鶴松、赤電車の鉄はいきり立ったが、木場政の女房お柳姐さんにきつく止められた。そんな時に小頭の辰巳の長吉が除隊して帰ってきた。

1. 人生劇場 飛車角と吉良常 (1968)

Friday, October 15th, 2004

監督:内田吐夢 ウチダトム

原作:尾崎士郎 オザキシロウ

脚色:棚田吾郎 タナダゴロウ

鶴田浩二 ツルタコウジ(飛車角)

辰巳柳太郎 タツミリュウタロウ(吉良常)

松方弘樹 マツカタヒロキ(青成瓢吉)

藤純子 フジジュンコ富司純子(おとよ)

高倉健 タカクラケン(宮川)

左幸子 ヒダリサチコ(お袖)

信欣三 シンキンゾウ(黒馬先生)

若山富三郎 ワカヤマトミサブロウ(小金)

大木実 オオキミノル(寺兼)

山本麟一 ヤマモトリンイチ(デカ虎)

山城新伍 ヤマシロシンゴ(熊吉)

「吉良常がピストルを銀杏の梢に向けて撃つ回想から始まる。飛車角は宮川や小金らと殴り込みに加わり、大横田の身内丈徳を斬って勝利を収めた。しかし、飛車角は兄弟分の奈良平が裏切っておとよを連れ出したことから、奈良平を斬った。そのため飛車角は巡査に追われ、瓢吉の家に逃げ込んだ...。」

これは、goo映画でのあらすじ説明だが、ようするにこれは滅び行く仁侠の世界を舞台にした「男2人女1人」の三角関係を描いた壮絶な恋愛劇。客人・鶴田浩二が女のために足抜きをさせて逃亡しようとするという普通と違った一見軟派な役所。思わず追っ手を刺すことで、刑務所に。その間、世話になった組は解体。シャバに出てきて、自分の女が恩を売った組の若い者に横恋慕されている。数奇な縁で女に思い詰める役は、高倉健で、これも鶴田に詫びを入れたらすぐに、組の親分の敵を討つためにあっけなくやられて躯(ムクロ)となる。

吉良常役の辰巳柳太郎が、全編に亘ってひと味もふた味もある演技と台詞回しをしていて、仁侠映画にありがちなパターンを大いに壊している。途中で病死するが、それまでは狂言回しのような役割も演じる。

いつもは勇ましい女侠客・藤純子が、ふたりの男の間でゆれる女心を演じきっていて、これも女優としての力量を余すところなく見せつける。おとよを見守る姉さん役(お袖)を演じる左幸子の口から出るセリフも、その話し方で芝居がかった感じがまったくしない。セリフは飽くまでも俳優が実際に言葉にしてこそセリフなのであって、脚本に書かれたテキストがそれ自体で「セリフ」なのではないのだ。

(キメ台詞)

恩人の兄貴分の飛車角(鶴田)の女(おとよ)を偶然に「横恋慕」していたことを知った宮川(高倉)が、自分の気持ちを寺兼(大木)と弟分の熊吉(山城)に打ち明ける場面。3人が川沿いの土手道にしゃがみ込んで話している。宮川は思い詰めている。

宮川(高倉健):宮

寺兼(大木実):寺

熊吉(山城新伍):熊

寺:何も、そう考え込むにはあたらねえじゃねえか。知らなかったことだ。すっぱり縁を切って、しかじかと角さんに頭を下げりゃあ、それで済むことじゃねえか...。親分にゃ、俺たちが口添えするよ。なあ、熊吉。

熊:(同意して)ええ...。そうしなよ、兄貴。

(宮川:沈黙)

寺:返事のねえところを見ると、おめえ、どうしても、おとよさんが諦め切れねえってんだな。

宮:済まねえ。俺ぁ自分にも嘘言いたくねえんだよ。

熊:兄貴...。何もそう自分を苦しめることはねえじゃありませんか。そう言っちゃあ何だが、相手は売りもの買いもの...

宮:(間髪を入れず)熊っ。もういっぺん言ってみろよ。人間の心は、売ることも、買うことも、出来ねえんだよ。人ごとだと思いやがって...

熊:何もそんな...

宮:(遮って)そんなもこんなもあるかよ、このやろっ!(語気を強める)

(向き直って)寺兼の兄貴...。くでえようだが、自分の心を騙してまで、いい子になりたかねえんだよ...。ニセの心じゃ、飛車角さんだって受け取っちゃあ下さるめえ。組の恩人は恩人。だからと言って、惚れてる俺の心はヒシ曲げることは出来ねえんだよ。ともかく、もういっぺんおとよに会って、俺の本心ぶちまけてみるつもりだ。すまねえが、それまで手ぇ引いて貰えねえか。俺ぁ俺のやり方で、やってみるつもりだ。ヤクザの出入りがどんなもんかぐらい、承知の上だ。

すでに終わってしまったライヴ告知と『歌行燈』

Monday, October 4th, 2004

昨夜も、実にわくわくドキドキ、緊張するけど止められない黒井さんとのライヴであった。実に鍛えられた。追い詰められもし、追い詰め(?)もし、実に普段の実力を大いに出し切らざるを得ないライヴのひとつとなった。まったく「ブルーズやってる気はないよ」と言いながらブルーズ責めにしないで欲しい。かくいう私は、教会旋法責めにしたわけだけど。(うっ!ブルーズもゴスペル発と考えれば「教会旋法」のひとつか?)

自慢ではないが、最近のライヴはどれも本当に現在持っている実力を出し切るという意味では、どれも終わったあと後悔がなく、実にさっぱりした「後味」のことが多い。気持ちいいぜ。

bccで皆さんにお送りしている直前ライヴ告知なのだが、今回は2日前くらいに黒井さんとのデュオ・ライヴを告知した。そのメールの中で、最近彼と一緒に観た成瀬巳喜男『歌行燈』を取り上げたので、ここに若干の加筆などを加え、ここにメモ替わりにアップしておくことにする。

「黒井*entee デュオ」

10/3(日)8:00pm

会場:荻窪グッドマン

(2人によるフルのデュオ・パフォーマンスは、今度が2回目。)