Archive for October 23rd, 2004

安息の音楽(土曜日に投稿すべしこと)

Saturday, October 23rd, 2004

ベートーヴェンを聴いている、などと言えば「へえ〜何で今さら」という感じかもしれないが、齢(よわい)四十にしてやっと室内楽の深さと素晴らしさに気付き始めたのだから、私はまだまだツイていたというくらいのことなのだ。失われたマスターテープが再発見されたWestminsterという老舗レーベルから出ていた、バリリ四重奏のものが、現在CDで復刻されている。最近それらの素晴らしさに魅了されている自分は、片っ端から(とは言っても経済が許す範囲で)購入しているのだが、ウィーンの50年代の演奏家達が奏でる音楽性の魅力、フィデリティの驚異的な良さなどで、完全にどこかへ旅に出てしまうような時間が過ごせる。

私の特にお気に入りなのは、ウォルター・バリリというヴァイオリニストとハンス・カメシュというオーボイストである。特にバリリの方は、10代で戦時中にウィーンフィルハーモニックの団員となり、二十歳前にコンサートマスターになるという早熟ぶりを発揮したが、なんと身体上の問題で39歳で「引退」しているのである。私は39の時にバリリを知りようやく聴き始めたわけだが、そのとき既にバリリは引退していたのである。考えてみると、Westminsterで聴ける彼の演奏はほぼすべて20-30代で録音されているものだと言うことになる。

さて、話をベートーヴェンに戻すが、弦楽四重奏曲第14番というのがある…

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