Archive for November 3rd, 2004

幕末残酷物語

Wednesday, November 3rd, 2004

叙情と忿怒」と題した脚本家・加藤泰の映画特集のひとつ、「幕末残酷物語」を阿佐ヶ谷ラピュタで観る。

仁侠映画の脚本家らしいが、新撰組を取りあげているのが一見異色。しかし、考えてみれば何の不思議もない。倒幕を図る薩長の殲滅を画策する「外に向かう暴力」の組織が、組の内部へは、ほとんど恐怖政治に等しい「法」と統制を敷いて、その「機動力」を保持していたからだ。そうした、暴力装置の当然持っている残酷な側面などは、「仲良しグループ」として大河ドラマで描かれがちな「新撰組!」には出てこようはずもないもの(おそらく)。

芹沢鴨がどうやって死に、一方、その後の世の中で一部の人々の間で英雄化された近藤勇や土方歳三が、その地位を如何にして我がものにしたのか、という暗黒面を描く。

一見、新撰組を舞台とした「青春群像」みたいな劇映画かと思いきや、後半から主人公の存在感がぐっと増し、一気に、「ひとりで斬り込む」復讐仁侠ものとなっていくところが、この映画の見所。

(加筆予定)

詩の言葉で語れ

Wednesday, November 3rd, 2004

「どこのどいつのことだい? あの人のこと? へっ? 確かに私もウソが多いと思ったことはある。」

しかし、何が一体ウソなのか? 何が一体マコトなのか? それを断定できる立場にいるのはいったいどこのどいつなのか? こちらで悪いものはあちらでは良い。こちらで良いものは、あちらでは悪い。臭いものは良いもので、良いものは臭い。あちらでもっとも美しいものはこちらで最も醜く、あちらでもっとも醜いものはあちらで最も美しい。弱さは強さで、強さは弱さの現れだし、男らしさなんてモノは女っぽさの現れだし、女っぽいものが、どんな男らしさよりも強さの現れであり得る。ウソでないものがほんとにあるのか? 誓っても良いが、聖人は、あの世では罪人だ。罪人はあの世では聖人だ。マーラーじゃないが、「生も暗く死も暗い」もホントはウソ。「生は暗く死は明るい」のかもしれず、その逆は、控えめに言ってもわれわれの生の中では「正」だ。

「ウソの多いあいつが不正直かって? ちょいとお待ちなよ。あなたが、ウソを生きていない「ホントのことだけの人生」を生きているのだと胸張って言えるなら、その言葉自体がウソだね。ウソだけで出来ていると自嘲するヤツがいれば、その言葉も信じるに値しない。」

「ウソとマコトが混ざりあって、「善と悪まみれ」になっているのがドラマ性。で、てめえの人生はきちんとドラマになっているか?」

おっと勘違いして貰っちゃ困るぜ。オレは「相対的な歴史観」みたいな浮き世の話をしてるわけでもない。