Archive for March 5th, 2005

「Joy to fly」と三鷹再発見

Saturday, March 5th, 2005

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愛でたくも、今度タモリクラブに2週連続で登場する運びとなった大学のクラスメートいしかわ君のblogで、「先行デザイン宣言支持宣言」というのを金曜の夜にたまたまクリックした。すると、「調布飛行場」という文句が目に飛び込んでくる。それって「見学のできる飛行場」が比較的近くにあるということじゃねーか!と、ちょっとどきどきして寝た。格納庫の一角をカフェにしたというプロペラカフェというのもあるらしいので、これは特に行ってみたいと思わせるものだ。それで午後からさっそく出かけた。三鷹を経由してバスに乗って終点まで。周りには天文台や武蔵野の林の丘以外にあまり何もない。ここまで来るバスの中でも思ったが、道が広く、空も広々としていて、こんな平らで開放的なエリアが東京にあるのかと改めて驚く。柵の向こう側でセスナがエンジンをかけて飛び立とうとしている。橙色の吹き流しが飛行場中央付近で少し風にたなびいている。管制塔には人の気配がないように思えるほど寂しく佇む。空は青空と銀色の雲が半々。

停留所から5、6分のところにあるAEROTECという建物の1階が<propeller cafe>になっている。なるほどここか。人の気配がしなかったので、閉まっているのかと心配になったが、ドアを開けると、すぐ前がセスナの離着陸する様子を見ることのできる大きな窓あるだだっ広い部屋になっていて、左側には厨房があり白いシェフの格好をした料理人と給士がきびきびと仕事をしている。そして美味そうなケーキのフレーバーがする。右側はすぐに飛行機の格納庫があり、単発エンジンの4人乗りセスナとそれより一回り大きめの8人乗りくらいに見えるジェット機が停まっている。

美味いコーヒーを飲みながら飛行機やヘリの離着陸を眺める。ヘリの教習をしているとおぼしき二人組が危うい感じで大空に飛んで行き、小一時間くらいして戻ってきたりする。ヘリのプロペラの回転を見ていると、随分乱暴に空気を切っているなあと思う。最初は柔らかくて弾力性のあるプロペラが遠心力でピンと張り、水平に空気を切る。今空中散歩をしてきたという人がカフェに戻ってきて一休みしている。鎌倉まで15分くらいで着いてしまう、海岸線をレーダーに補足されないほどの低空で飛ぶのは快感だ、と話す男性。趣味で飛んでいるのだ。「ヘリに乗り始めてまだ100時間くらいしか経っていない」と控え気味に自分の飛ぶ喜びを話す男性。ここへ来て、ヘリか飛行機のパイロットになろうと決心する人は1年に最低365人位いるんじゃないだろうか?

それにしても、プロペラカフェのBLTホットサンドはセントルイスの石川邸で食べたもの以来のとろけるような異様な旨さだったぞ。それにデザートの紅茶フレーバのシフォンケーキも逸品だ。今度はオムライスを食べてやる、と食い意地ばかりが働くのである。

17:36の最終バスに乗って、三鷹に戻る。野川公園には行かなかった。帰りに三鷹に寄って買い物をしたが、ひょっとすると吉祥寺よりも生活するのに便利そうな店が多くある。渋谷と新宿に<三平酒寮>を構えるあの<三平ストア>が2カ所も店を出しているしね。

「半分が八百屋で半分が酒屋」という面白い店に立ち寄る。そこの店の主人は、気の良さそうな八百屋の「おやっさん」のようにしか見えないんだが、天井にはBOSEのスピーカが4つ設置してあって、店に一歩入ると、音のまっ只中にいて、ブラームスの弦楽四重奏第2番とかを良い音で掛けている。珍しい選曲だ。もしかして有線かなあと思って訊くと、自分でCDを掛けているとやや心外そうに答える。以前三鷹に住んでいた頃にもっと頻繁に来ていたという永山に言わせると、かつてはLDでヴァイオリン奏者のリサイタル映像とかを店で流していたらしい。確かに天井に立派なビデオモニタが2つ吊るしてある。東京で一番いい音のする八百屋(兼酒屋)なのではないだろうか? しかしあの音を聴いていたら凍りついてしまって買い物にならんだろうが。永山はあすこをいまだに「酒屋だ」と言うのだが、ボクには「お酒も売っている八百屋」のようにしか見えない。おそらくだんだんと親父さんの関心が変わってきて酒屋から八百屋へとなし崩し的に傾斜してきたのだろう、あの店は。好きが高じて八百屋になりつつあるせいか、店に並べてあるお惣菜とかも、いかにも手作りで素材は厳選していそうだ。いくつかの珍しい野菜の他に蕗の醤油漬けというのを「入手」。

カキ入りのお好み焼きを頬張ったりした後、駅にほど近い老舗のワイン屋さんで白い濁り酒と赤い発泡酒を買って帰る。店に貼ってあるフランスのワイン・ヴィニヤール・マップを見ていたらワインマップポスターを3つも丸めて下さる。「また三鷹に来てくれ」と言っているようだった。

また必ず来るだろうね、近々。