Archive for May 28th, 2005

「ケルビーム展」へ:あるいは「見えない学校」の「見える形」を賛美する

Saturday, May 28th, 2005

怒濤の2日間、土曜日の第1弾(アップロードは前後する)

梅崎幸吉氏の率いるグループ展「ケルビーム展」に出掛ける(半ば興奮気味に)。楽しみだったのだ、心底。場所は目白の『新樹画廊』。「ケルビーム」とは、梅崎氏がかつて銀座で開いていたという「画廊」の名前だそうだ*が、美術、文学、演劇、音楽、などなど、あらゆる「創造的人間関係」の磁場の中心点であり、梅崎氏自身の創作におけるパッション、人との関係における仁愛、そして人間的魅力が大きな牽引力をとして機能していた、ある種の「学校: school」のようなもの**であったらしい。もはや、その名は彼を囲む創作への衝動を心に抱く人々の集合の旗印として機能しているのであり、単なる「グループ展」の名称、あるいは昔あった「ギャラリー名」という以上のものになっている。むしろ、梅崎氏の移動するところにケルビームはあり、梅崎氏の呼びかけるところに人が集まればそこが学びと共感の場となると言う、言わば「移動式の見えない学校」(mobile invisible school)が存在するのである。

* 「…だそうだ」などというやや消極的な伝聞のかたちでしか記せないのは、梅崎氏の往年の活躍ぶりを残念ながらリアルタイムで私が体験していないからで、飽くまでも連れ合いから聞き続けた噂と梅崎氏から若干伺った話でしか知らないためである。

** それを「学校」と呼ぶのが最適であるとは分からないが、そのような場として機能していたことが話から伺えるために、これ以上相応しい呼び方があるとは、今の私の想像力からは考えられないのである。

「ケルビーム展」には、梅崎氏本人を含む17名の方々が出品。私たちが訪れた土曜日は、このグループ展の最終日。しかも1週間の会期日中、週末はこの日だけだったので、自分らにとっては選択の余地はなかった。店舗を兼ねたギャラリー1階には17名の参加者全員の作品が1点ずつ展示されている。それをひとつひとつ矯めつ眇めつ眺めていると、2階から梅崎さんそして来訪者と思われる方達の談笑する声が聞こえる。絵の眺めながらゆっくりと2階に上がってみると、そちらの方がどうやらメインの展示会場となっている。階段を上る頭上右側には梅崎さんのやや大きめの作品が掛かっており、階段を上り切ると、階下に展示されていたモノクロの作品とは打って変わって、色絵の具(不透明水彩?)を使った石塚俊明さんの作品が2点目に飛び込んでくる。まるでナヴァホの砂絵が描いているようなある種の曼荼羅のようなもの、見ていると日本のいなかの原風景のようにも見えてくる。

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