Archive for June 29th, 2007

「解釈」や「自覚」を越えて

Friday, June 29th, 2007

「ブラックサバス問題」だが、それは個々の作品と、作品の時間的/空間的「連なり」をどう捉えるのか、言い換えれば作品自体に個別に対峙するのか、作品群の中に個別の作品の特定の位置を発見して発展史という文脈の中でそれらを捉えるのか、という二者択一の問題に行き着く。

そこまで書いて、ふと一昨年の今頃書いた「自覚的であるということが、創作内容の芸術性の決め手となるか?」という文章を思い出した。

(時間のある方は後で読まれたい。)

まあ言ってみれば、大なり小なりマニア的な(あるいは熱心な)芸術の愛好家というのは、単に行き当たりばったりに個々の作品を鑑賞しているのではなくて、往々にして作品を「文脈:コンテクスト」として捉えられるほどのまとまった量で鑑賞するものであるし、そうした横断的な鑑賞法がもたらす感慨には、個々の作品から単独で得られる感動と同等か、もしくはそれ以上に興味深いことがある、ということを知っているということなのだ。そして評論家が評論家である理由というのは、こうした歴史的文脈で「作品を理解する」ことができる歴史鳥瞰的な眼を獲得したということに外ならない。だがもちろんこれは評論家だけの特権ではなく、あらゆる創作者が持っていても「損はない」ひとつの視点ではある。そこまでは便宜上、認めても良いだろう。

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