Archive for July 10th, 2007

神の恩寵に与ることは原罪を背負うことと同義であることについて

Tuesday, July 10th, 2007

Fall

罪の意識とは、そもそも論理的には関係性や条件性の中にしか存在しえないものだった。「○○をしなければならなかったのにしなかった」とか「すべきでないのに○○をしてしまった」というような、「罪が犯される」に先立って、すべき、せざるべき、という何らかの約束や契約などの条件がなければ、そもそも罪は成立しない筈のものである。これは、善や悪がそうであるのと同様で、あくまでも善は悪の存在を前提としなければ存在できないし、悪も善の存在を前提としなければ存在できないという二者の相互依存にも似たもので、罪と契約(約束)は、相互に切っても切り離せないペアなのである。約束のないところに罪はない。したがって、生まれながらにして罪を持っているとか、祖先から相続されてきた罪があるというような、条件を必要としない罪というものがあるかの説が信じられるには、一体どのような「前提」が必要になるのであろうか。

(more…)