Archive for July 13th, 2007

宗教学者と宗教家(信仰者)の対話 #01

Friday, July 13th, 2007

あるいは

「宗教と信仰に関する交差しがたい平行的関係について」

●:宗教学者/宗教史家

○:信仰者/宗教家

●どのような結果をもたらすものであるにせよ、宗教を正面から捉え、その重要性をわれわれほどに認識しているグループもあるまい。宗教について語らせるなら信仰者による特定の宗教や教団の弁護やの勧誘の言葉ではなく、われわれ宗教学者、宗教史家の言葉にこそ耳を傾けるべきである。

○「宗教の中身」とは、信仰そのもの、そして信仰生活のなかにある。したがって、あなたがた宗教学者たちが宗教を扱うようにそれを「研究」することによっては、その内実を明らかにすることは一向にできないだろう。問題は、そこに信仰があるかどうかなのだ。信仰が宗教的問題のすべてなのだ。「重要なのは信仰なのだ」。

●なるほど。いかにも信仰者が言いそうな予想通りの言葉だ。信仰がわれわれの扱う範囲を超えているのは確かかもしれない。然様、われわれは対象化できるものを研究の主題としているのであって、当面はあなたがたの心の問題や内的体験にまで立ち入る気はない。人間社会における宗教というものの占める領域、社会的影響力、すなわち知覚可能な世界における宗教の果たしてきた役割やその影響を調べ、それを言語化するのがわれわれの第一義の仕事なのだから。

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