Archive for July 27th, 2007

“ヴィーナスの丘”と褥の皺と [3]

Friday, July 27th, 2007

隠すことは、隠される存在を前提とする。したがって如何なる隠そうとする試みも、「そこに何かがあること」を却って人に知らしめる逆説を孕んでいる。

Botticelli's Birth of Venus [1]

Rafael Galatea [2]

Adriaen Collaert [3]

Doubtful love [4]

洋の東西を問わず、多少なりとも人間は性器をそのようなもの(秘部)として扱ってきた。「隠される」ことでそれは必ずいつの日か一定の条件のもとで「晒されたり」場合によっては「共有され」さえするものに変質するのである。こうした性に対するタブーに付きものの逆説的な「法則」は、まさに隠され続けた正統的な“歴史的”事実が、《オカルト》(隠秘学)において扱われるのと同じように働いた。隠しながらもそれを確実に保存し、後世に伝えなければならないという矛盾した命題は、その秘密や証拠の破壊という選択肢をわれわれの手に完全に委ねることをしなかった。破壊せずに隠す、隠しながら伝える、というのがまさに《真性オカルト*》の本質なのである。そこに最も古い象徴主義が出現する。

* 《オカルト》の定義については、拙論「真性《オカルト》論について」を参照のこと。

KUMIKO Takeda with three shells [5] MARI Keiko with body suit [6]

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