「もんじゅ」も揺れた土曜のライヴ[上]

早めに家を出ようとして靴を履き、外の廊下に出てよいしょと重い荷物をふたつ背負ってドアを閉めようとしたら。ボクを玄関まで見送ろうとしていた連れ合いが、廊下で「いやあ、地震っ」と叫んだ。立っている上にちょうど重い荷物を持ち上げるというアクションをとっていたので、揺れが来たことは、全然分からなかった。「何を騒いでいるんだろう」と不思議そうな気持ちで、廊下に立っている彼女の方を玄関の一歩外から観たら、床と壁と天井が作る「長方形」であるはずの廊下が、左右に揺れて菱形に歪んでいるような「眼の錯覚」を覚えた。「え〜、なにこれ?」と驚いて振り返って外を見ると、地面が、差別なしに全ての人工構築物を等しく「揺さぶっている」のが見えた。自分も揺さぶられているのであるが、思わず頭を少し低くして手摺にしがみつくと、玄関外のマンションの廊下の床と天井がびょんびょんバネのように狭まったり開いたりしているのが見えた。鉄筋コンクリートといっても、なんかこんにゃくのように柔らかそうに見えるのだ。

それから、ようやく「これはちょっと大きい」という実感が来たので、連れ合いの方にまた目を向けると、思わず大きな声で、「靴履け!靴!」と叫んでいた。逃げるとしたら素足では逃げられないからだし、彼女も玄関にいたからとりあえず靴を履くのが、どこかに行くにしても行かぬにしても、避難の第一歩だと思った訳である。

次の揺り返しがくるまでにマンションの外に出て地上に降り、駐車場のようなスペースのところまできて揺れが収まるのを待った。しばらくするとまたゆれが来ているのが電線や止められているバイクを見て分かった。おそらく揺り返しだろう。外にいたので、あまり恐怖がなかったが、ウチにいていつものように半裸でしかも裸足でいたりしたら相当恐怖を感じたに違いない。

揺れが収まって、普通に運行している井の頭線に乗って吉祥寺に行くと、そこはまったくの混乱と半分パニック状態になっている人々の群衆があった。激高して駅員に叫んで何か「権利」を主張して列を止めている若者がいたり、その後で明らかに不快な顔をして、改札から押し出ようとしている大勢の人々がいる。たった3人で何百何千という人に状況を説明をしなければならない駅員の困惑。地震は俺が起こしたんじゃないという気持ち…。

中央線も総武線も、先の地震で全く動いておらず、いつ運行を再開するかが分からないという事で、あっさり諦めて、同じ井の頭線に乗って自宅に引き返すことに。電車の中でポケットラジオを聞くと、都内の地下鉄全線、小田急線、JR各線、多くの鉄道が点検のために運行を中止しているという。これは、もう高井戸からバスに乗って荻窪にたどり着くしかあるまい…。

自宅でぼちぼち出ようかと考えていたら、<もんじゅ連>相方のナベさんから電話連絡があり、クルマで荻窪まで連れて行ってくれると言う。ありがたい話である。

Leave a Reply

You must be logged in to post a comment.