便利な“ALL IN ONE”。しかしリスクも“ALL IN ONE”(倒れる時はみんな一緒)

PDFファイルでもMIDIファイルでも音声ファイルでも、何でもメールで送れるご時世で、今さらなんでファックスなの?とか思っていたし、現に十年以上ファックスなしの生活をしてきた。どうしても必要ならファックス画像はマックでも受けられるし。加えて、留守録というのも、もうかれこれ十年以上お世話になってこなかった。PHSをその黎明期から使っていることもあり、端末が留守録も兼ねてしまうので固定電話自体への依存度も期待の度合いも下がっていたのだ。あとは、電話関連機器にお金を掛けることに対する抵抗があったし、そもそも考えるのが面倒くさかった。だから固定電話には「着信履歴」とか「相手先の電話番号表示」とか、そういう有り難い機能の一切ない、実にプレーンな前時代的な電話機しかなかったのだった。

しかしここへ来て突然ウチにファックスと留守録、その他諸々の機能を兼ね備えた「複合マシン」がやって来た(もちろん、呆れるほど安価なヤツだ)。ひとつには同居人がアナログ的人間で手書きのファックスをやり取りしていた時代に「ギョーカイ」で仕事をしたことがあったり、そのアナログ的な便利さが捨て難い人物であったということがある。ファックスならすぐに相手の通信内容を出力した状態で受け取れるし、メールだと原稿によっては却って相手の手間を増やすことも有るだろう。つまりアナログ系通信機器の最後の形態の名残を保っているファックスという機械は、もっと前からウチにあっても良かったものなのだ(きっと)。

あと、電話ベル恐怖症の家人にとって、電話番号表示がないために余計出るのが怖いという状況でもあったから、これは若干の気休めにはなろう。

最近何かで読んだ記事で、もしテクノロジー進化が今の反対で、パソコンのようなバーチュアルなツールが先行して存在していて、そうしたテレコムツールだけで生活しているところへもって、紙という媒体が発明されたとしたら、それはパソコンの発明以上の世紀の大発明として歴史に輝かしい偉業として残ったであろうとのことだった。「紙」というのはそれほどハンディーでフレキシブルなツールなのだということを改めて気付かせてくれる記事だった。もちろんこれはある意味バカげた「歴史のif」に外ならないのであるが、多くのことに気付かせてくれる譬え話ではある。

実際に手に取って見ることができる。ペンや鉛筆を使ってテキストを修正・追加することができ、その履歴もそのまま残る。束ねれば極めて小さな単位容積の中に、多くのテキストを突っ込むことができる(本やノート)。数枚の紙なら畳んでポケットに入れておくこともできるし(メモ)、何か書いた紙片なら人にそっと手渡すこともできる(付けブミ)。そして不要になれば、簡単に燃やすことも裁断することも可能なのだ(処分性能)。そして、よほど粗悪なものでない限り、通常のPCデータがそうであるような、経年変化によってクラッシュする可能性というのも低い。何と頼りになるメディアだろう! 加えて、おそらくパソコンよりは環境にやさしいメディアのはずだ。おそらく仮想メディアというのは、この紙の便利さというものに近づこうと必死で真似はするが、どうしてもそれ自体を置き換えることのできない遠回りをしている面が否めないのだと思う。

一方、そもそもパソコンは紙の消費量を抑えなかった。紙の真の便利さを仮想世界に置き換えられなかった(今のところ)。「ペーパーレス社会」などという言葉は10年前にちょっと流行ったが、パソコンの登場でパソコン関連の参考書や雑誌が軒並み発行されたたことと、仕事をする人々が以前よりむしろ多い量のプリントアウトするので、却って紙の消費量は激増した。特にパソコンが通常のツールとなった今や、オフィスにおける出力紙の消費量は、大変な増大となっているだろう。

おそらく「新しい貨幣」のコンセプトを理解せよ!などという寝言を言っているよりも、オレ独りがパソコンを辞めることの方が、環境にやさしいに違いない。やれやれ。

<ファックス>は基本的にスキャナーであり、外部から送られてくるイメージの受信機でもある。そして何よりも根本的に<電話機>である。一方、<プリンター>は基本的に汎用出力装置である。つまり、ファックス、プリンター、コピー機の三つの機械のどれにも必要な共有部分である。ということは、ファックスとプリンターという2つの機能を適当に組み合わせれば、(1)プリンターであって、(2)スキャナーであると同時に、(3)コピー機にもなり、(4)ファックス機能があるということは要するに、(5)電話機能を持っている訳だから、後は(6)留守録装置さえ加えれば、まさに理想のOA複合機が出来上がるのである。共有部分が多いので、ファックスとプリンターとスキャナーなど、複数の機械を家に保持しているよりも遥かに嵩張らないで済む。で、そんな機械が3万円以下で出ていたので購入した次第である。

そんな「1台6役」の夢のような機種があるのかと疑問の方は、私に個人的にご連絡下さい。メーカー名と機種名をお教えします。

ただし、1台6役のどれかひとつでもおシャカになれば、その時は一気に、プリンター、スキャナー、コピー機、ファックス、電話、留守録のすべてが使えなくなって以前の原始的生活に戻るというリスクと隣り合わせであることを了解して下さい(爆)。

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