あきんど根性に災いあれ!

ある人のブログで「市場は人間を疎外する、ということを、金で人間は買えると言い換えただけ」という名文句があった。おそらくホ○エモンへのある種のシンパシーを表明しているのだろうと想像したのだが、そうだねえ… かなり賛同。彼は、「皆さんの信奉する不文律のルールって要するにこういうことでしょ!」とみんなのために言語化してあげて人々の反感を買ったが、彼が言語化しなくたってそういう考えで動いているもっとたちの悪い「大物」が一杯いる。そして絶対にそんなことは言語化しないが、もっと猾いことをしているのだ。

だが、自分が本当に言いたいことはそれだけではなくて、もっと言うと「市場は人間を疎外する」の根っこには「お客様は神様です」の思想があって、そんな市場「至上」主義を疑いようのないものと思ってサービスを提供しなければ、世間では商売にならないし生きることも出来ない、というのが皆さんの常識なら、「金で人間は買える」というのはなくならない。だって、お金のためなら何でもして差し上げますってのが「お客様(市場)は神様です」の思想じゃないですか。何しろ「神様」なんですからね。そして「お金(商売)のためなら何でもして差し上げます」の人がいる以上、「金で買えないものはない」というホ○エモンの言語化した考え方はなくならない。「何でもやって差し上げよう」と言って自分を他人の足下に這いつくばらせても構わない人間が、他人に対しても同じ物差しで測り、自分だけでなく、他者の人間性さえも疎外する「偉そうなお客」に豹変する。

やはり「お客様は神様です」をまず克服しなければ「市場は人間を疎外する」も「金で買えないものはない」も、どれも克服されることはないだろう。この標語の中にほとんどの「労働問題」は集約されてるんじゃないのか? だいたい「お客様は神様です」なんて言い出したやつはどこのどいつや。お客が何でそんなに偉いんや。サプライヤがいなくて困るのもお客やろ。みんなお客であると同時にサプライヤ・サイドでもあるんだから、互いに「わがままな客」になるのをやめてもう少し我慢を知ろう!

「お客様は神様です」式の「国民的標語」に限って、誰が言い出したか分からない「迷言」なんだ。お客とサプライヤは、「サービス」と「お金」を同じくらい必要としている者同士の等価交換が基本だろ。買う方も売る方も、同じくらいプライドを持たなきゃいかんし、相手を尊重しなきゃいかん。

「市場」という顔も実態も分からないものを絶対視する「あきんど根性」に呪いと災いあれ!

One Response to “あきんど根性に災いあれ!”

  1. 石川初 Says:

    それは三波春夫だったと思う。

    このサブジェクトは、「給食費は払っているんだから、子供に『いただきます』と言わせない」と主張した母親のエピソードをめぐる議論にも通じていて興味深いです。

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