虫食いとなる!《みどり》のゆうちょ銀行、終焉への布石

日本人が額に汗して稼いだお金をすべて吸い取ってそれが当然のことであるという態度のアメリカ合州国。65年前に決した勝負の結果の延長線上に支配と被支配の構造を固定化した覇権国アメリカ。

以下は、朝日新聞に掲載された短い記事だ。

(貼付け開始)

ゆうちょ銀の資金、米国債で運用も 亀井大臣が見解

2010年2月4日1時30分

 亀井静香金融・郵政改革相は3日、日本郵政グループのゆうちょ銀行の資金運用について、米国債や社債などに多様化していくべきだとの考え方を示した。郵政見直しではゆうちょの預け入れ限度額の引き上げも検討されており、亀井氏は資金の増加が見込まれるとして、運用先も広げるべきだとの立場だ。

 亀井氏は記者団に対し郵政見直しについて「手足を縛られて営業をしているわけだから、現実にあった形にしていく」と発言。昨年12月末で約180兆円のゆうちょ銀行の貯金残高の増加が見込めるとした上で、米国債など日本国債以外の運用が「もう少し増えると思う」と述べた。

 ゆうちょ銀行は昨年12月末で約180兆円を有価証券で運用しているが、9割近くは日本国債で米国債はほとんどなく、社債も約12兆円にとどまっている。

(貼付け終了)

オバマ大統領の登場とその人気の急落。これは選挙前から仕組まれていたシナリオ通りの流れなのであろう。米政権が共和党から民主党に変わってアメリカの政治や外交政策が変わったかと言えば、少なくとも植民地である日本に住む国民の目から見ればまったくその本質は変わっていない。口先ではたくさん甘い約束をして安心させ、リベラルな外交方針を見せて期待を膨らませておいて、その実、大戦後に固定化された日本からむしり取るその日米関係に、なんの本質的な転換もなかった。

今回の亀井大臣の「見解」が、実際はやる気のない、対アメリカのリップサービスであるのか、あるいはそのような体裁をとった日本国民に向けての警鐘としての意味を持たせているのか、その本質は憶測する以外にないが、「ゆうちょ銀の資金、米国債で運用も」というメッセージは、われわれほぼすべての日本人にとって極めて重要な意味を持つ。

「土日に自分の預金からお金を下ろしてもATM手数料を取られない。さすが郵貯だ」などと思っていたら、この便利で競争力もある日本最大の銀行のお金は、処分することのできない紙切れを大量に購入するために使われることになる。

つまり、今後、日本人の預けているゆうちょ銀行の預金が間接的に、将来回収できる見込みのないドル建ての債券に置き換わっていくということだ。「どこに貯金をしようが、変わらない、好きな時に下ろせるなら、どこも一緒」と考えているのであれば、それはお目出度いとしか言い様がない。われわれが自分の意志で米国債を買うのではなく、ゆうちょ銀に口座を持っているすべての利用者は、それを間接的に買わされるのだ。そして、(当然の如く)それらの債券が焦げ付いたとき、そのゆうちょ銀が不良債権を抱えることになる。これは自分たちの預けたお金が返してもらえなくなることと全く本質は変わらない。

ネットを見ていると、このことと小沢の不起訴の決定がタイミング的にリンクしているという単純な事実から、 >> 小沢氏不起訴の交換条件に「ゆうちょ銀行の180兆円の資金運用を米国債でする」ことになったのではないか? << などと憶測するスジが出てきているが、これは原因と結果を読み違え、小沢を更なる窮地に貶めるものだ。小沢は確かに不起訴という結果を戴いたが、すでに彼はこうした一連の「不祥事報道」によって実質的に裁かれているのである。起訴になったか不起訴になったかという違いは、誤差の範囲である。むしろ、彼はこうしたゆうちょ銀行のあやまった資金運用などをさせないように抵抗していたのであり、むしろ小沢=亀井らはその闘いに敗れたのである。つまり、まさにこうした結果を招来しないようあらゆる努力をしていた小沢が、自分の身柄の自由(不起訴)などと引き換えに国民の金をアメリカに差し出す様なことをする筈がないのである。そうした読み違えは、自分らの本当の敵と味方の区別を読み過つ重大なる過失である。

彼への圧力は、起訴/不起訴の決定の日が近付くに連れ出てきた米トヨタのリコール判断という、いわば「街一つなくなるほどの大規模の《爆撃》」を通して行なわれた。小沢への圧力は米政府への服従とゆうちょ銀行の金の運用という《実績》を見せることで一旦の終息を見せるかもしれないが、まさにこれこそが小沢が守ろうとしていた日本人の国益であったのだ。

アメリカが要求していることは小沢の政治的屈服である。しかるに、小沢に残されたものは、ひょっとすると「不起訴」という分かりやすいメッセージで彼はメンツだけを保った状態のまま、政治的な屈服を認めさせることだったのかもしれない。つまり、小沢は既に負けを認めてしまった可能性があるということである。考えたくないことであるが。

こうした重要な政治の動きがヴァンクーヴァー五輪などのお祭り騒ぎの陰に隠れて、きちんとモニターできなくなるのは、われわれにとっての大きな損失だ。

われわれができるひとつのこと。それは全国にネットを持つ郵貯の窓口に行って、「もしあんたらが《米国債》なる不良な債権を運用先として購入を実行に移すなら、自分たちの預金を守るために資金を引き上げざるを得ない、つまり預けている預金を全額下ろす。だからそうして欲しくなければ上司にそのように言え」と伝えることだ。それを全国で展開するのだ。これはゆうちょ銀利用者による全国規模のボイコットである。

預金が無くなればそもそもそのお金を外資に垂れ流す様な「運用」することはできない。

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