やっぱりいた、電柱愛好家!

電柱、というのは「前向きなランドスケープ」を考えなきゃならない立場の人からすると、「頭痛の種」という位置づけであっただろうと漠然と思っていたし、電柱や電線のない空、というものがあったら、向こうの景色ももっと楽しめるのに、とか、カメラアングルがもっとカッコ良くなるのに、とか、考えたりもした訳ですが、今回のように電柱に親しみを覚え始めると、ある種の発想の転換が起こる。

電柱や電線に十字架を見出す子供に共感する信仰詩人もいれば、電線に五線譜を見出す詩人の心もある。電柱や電線を風景の一部として受け入れるということができるということは、別の意味で前向きな態度でもあろう。

しかし、電柱や電線を溺愛する心が内面に芽生えたら、今度は街を歩いている間中、喜びで満ちあふれるということに、なるはずだ。知らない街に行くと、観たこともないような電柱を見つけようとするだろうし、思いがけない電柱と出会えると、歓喜を覚えたりする訳である。そして、そんな人が、世の中にはやはりいらっしゃるのである。それを知ってなんか嬉しくなってしまうのであった。

以前、タモリクラブで「インターチェンジの愛好家」というニッチな趣味の人が出ていて、「いいインターチェンジ」や「わるいインターチェンジ」というのを論じたりしているのを観たことがある。こう言っては失礼かもしれないが、まさにそういう類いの「電柱フェチ」という方がいらっしゃることを知った。どういう電柱が好みなのかとか、そんなことも面白いのだが、写真キャプションに「高圧線路の碍子配置が2:1 架空地線の腕金が柱の真中にある。一番好きな格好。柱上変圧器が低圧線路の下にあれば最高。」などとあると、もう嬉しくなってしまうのだ。ボクも電柱を観てそうした美を自分で見出せるようになれれば、もっと「前向き」に日本の景色、独自の景観を楽しむことができるようになるだろう。

Leave a Reply

You must be logged in to post a comment.