幕末残酷物語

叙情と忿怒」と題した脚本家・加藤泰の映画特集のひとつ、「幕末残酷物語」を阿佐ヶ谷ラピュタで観る。

仁侠映画の脚本家らしいが、新撰組を取りあげているのが一見異色。しかし、考えてみれば何の不思議もない。倒幕を図る薩長の殲滅を画策する「外に向かう暴力」の組織が、組の内部へは、ほとんど恐怖政治に等しい「法」と統制を敷いて、その「機動力」を保持していたからだ。そうした、暴力装置の当然持っている残酷な側面などは、「仲良しグループ」として大河ドラマで描かれがちな「新撰組!」には出てこようはずもないもの(おそらく)。

芹沢鴨がどうやって死に、一方、その後の世の中で一部の人々の間で英雄化された近藤勇や土方歳三が、その地位を如何にして我がものにしたのか、という暗黒面を描く。

一見、新撰組を舞台とした「青春群像」みたいな劇映画かと思いきや、後半から主人公の存在感がぐっと増し、一気に、「ひとりで斬り込む」復讐仁侠ものとなっていくところが、この映画の見所。

(加筆予定)

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